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2023年08月18日

2 北海道大学医療AIシンポジウムを開催しました

北海道大学そして海外の最新の医療AI研究動向の発信及び医療AIにおける産学連携の更なる深化を目的とし、第2回北海道大学医療AIシンポジウムを2023年8月5日に開催しました。
シンポジウムプログラム

このシンポジウムは北海道大学大学院医学研究院 医療AI開発者養成プログラム(CLAP: Clinical AI Human Resource Development Program)、及び北海道大学病院 医療AI研究開発センターが共同で、特定非営利活動法人メディカルイメージラボの協賛を受けて開催したものです。国内外からより多くの方々に参加いただくため、ハイブリッド形式(北海道大学医学部フラテホールおよびZoom配信)で実施し、日本国内および海外のアカデミア関係者や医療関係者のみならず、民間企業からも多数参加いただきました(現地:37名、Zoom:167名 (海外:30名))。多くの専門家、研究者、業界関係者が集まり、医療AI技術の発展と未来への展望について熱心に議論しました。

シンポジウムのポスター

参加者数分布

現地開催の様子

このシンポジウムは「北海道大学のAI研究」「企業紹介」「海外大学のAI研究」の3つのセッションを設けました。北海道大学からは2名の研究者による講演、また海外大学からは2名の研究者による講演、また医療AI研究開発に取り組まれている8つの企業からのプレゼンテーションと、充実した内容のシンポジウムを開催することができました。今回からの新しい試みとして、「北海道大学のAI研究」(日本語セッション)及び「海外大学のAI研究」(英語セッション)には、それぞれ英語、日本語の同時通訳を提供しました。

1つ目のセッション、「北海道大学のAI研究」では、北海道大学大学院医学研究院 画像診断学教室 准教授 平田 健司が座長を担当し、北海道大学 大学院情報科学研究院 メディアダイナミクス研究室 教授 小川 貴弘 先生、北海道大学 大学院医学研究院 循環病態内科学教室 准教授 永井 利幸 先生にご講演をいただきました。小川先生からは「最先端マルチメディアAI技術の異分野融合研究への発展的導入」と題して、情報科学者の視点から、最先端マルチメディアAI技術及び土木工学などの分野横断的な研究応用が紹介され、また最新AI技術の医療への応用や今後の展望が示されました。永井先生からは「産官学連携による高齢心不全患者におけるフレイル自動判定プログラム医療機器の開発」と題して、現在企業と共同開発中のAIを用いたフレイル自動判定のプロジェクトが紹介されました。動画データをAI解析することで、フレイルの客観的な自動判定が期待できます。

小川先生のご講演

永井先生のご講演

2つ目のセッション、「企業紹介」では、北海道大学大学院保健科学研究院 医用生体理工学分野 准教授 杉森 博行が座長を担当し、キヤノンメディカルシステムズ株式会社、GE ヘルスケアジャパン株式会社、中外製薬株式会社、富士フイルム株式会社、プラスマン合同株式会社、株式会社テンクー、United Imaging Healthcare株式会社及び医療AIプラットフォーム技術研究組合が、各社のAIに関する最新の取り組みを紹介し、これからのAI開発に必要とされる人物像を聴衆に伝えました。

3つ目のセッション、「海外大学のAI研究」では、北海道大学大学院医学研究院 画像診断学教室 教授 工藤 與亮が座長を担当し、韓国Seoul National University Hospital Department of Radiology 教授 Seung Hong Choi先生と、アメリカYale School of Medicine Department of Radiology and Biomedical Imaging PET Center 豊永 拓哉 先生にご講演をいただきました。Seung Hong Choi先生からは「Insight of AI Applications in Korean Medical Fields: from Education to Startups」と題して、韓国における医療AIの教育から、現在進行しているAI研究や、医療AIスタートアップ企業の現状が紹介されました。特に、医学部の学生に早期からAI研究に関わる機会を与える取り組みが印象的でした。豊永拓哉先生からは「AI-based Image Generation for PET: Appropriate Applications and Limitations」と題して、核医学分野における被ばく低減を目的として、PET検査に必要である従来CT撮像由来の減弱係数分布画像をAIにより生成する研究が紹介されました。AIを使って放射線被ばくを低減することができるため、大きく期待されている研究領域です。

Choi先生のご講演

豊永先生のご講演

シンポジウムの最後には、参加者同士が情報交換を行うための機会が設けられました。フラテホールのホワイエでの情報交換会では、活発に意見交換やアイデアの共有が行われ、新たな連携の可能性が模索されました。
第2回 北海道大学医療AIシンポジウムは、多彩なプログラムと熱心な参加者により成功裏に開催されました。医療AI技術の進展と国際的な連携についての議論が行われ、今後の医療分野の発展への貢献が期待されます。引き続き、AI技術の進化と医療の向上に向けての取り組みを続けたいと思います。